2008年5月1日木曜日

ムーアの法則の終焉で起きること

ムーアの法則はゲート長が原子の1個分になるまで、あと約15年は続くと言われている。その通り続くかわからないけど、まあいくんじゃない?くらいに、皆思っているようだ。

もしこれがいくとして、きっと最後の5、6年くらいから、半導体業界は騒ぎ始めるだろう。終わってからどうしよう?って。

そのころには、3次元積層技術ができはじめ、縦方向に延びることで延命する道ができるということもありうるかもしれない。そんな何段も詰めるもんなのかは知らないけど。

もしくは、最近盛んな光コンピューティングができてきて、そっちに移り始めるなんてこともあるかもしれない。

まあ、そうやってうまいタイミングで、次なるもんが出てくればいいけど、出てこないとなるといよいよ大変だ。半導体業界は、株価の振れ方ははすごいことになるだろう。

しかし、ムーアの法則が終わるからと言って、コンピュータが用済みになるわけではないから、もし性能の進化が鈍化しても、それなりの規模で市場は保ちながらいくのだろう。

ムーアの法則のあとのコンピュータはどういう進化をしていくのか、どれだけ必要とされるのか、何をもたらすことができるのか、そういうことを考えられるだけ考えて、最後の5年間は賭けに出るしかない。

次の新しい技術はこれだ!とか、とにかく前に突き進むしかないと判断すれば、最後の5~10年間は、新しい分野に金を大量につぎ込むだろう。逆に、見通しが立たず、次の新技術はできないとなれば、リスクを抑えるべく、投資は抑えて、規模の縮小をし、半導体を安定供給できるような体制に持っていくだろう。しかし、そんなことになれば、おそらく発展途上国の企業に追い越される運命になるだろうな。

10年後の半導体の性能は、今までのとおり行くなら、大体100倍は上がる。とすれば、10Tflops位は、いくんじゃないだろうか。将来、10Tflopsでなにができているだろうか?地球シミュレータでやってるようなシミュレーションを普通に、実行できる環境。今の百倍コストのかかる画像処理を実行できる環境。メモリでいえば、100GB位は積んでいるかもしれない。組み込み系のチップなんかがみんなCell並になっているかもしれない。

これは夢の世界だろうか?いや、実感できる平凡な世界なのだろうか?

たとえば、大型計算機は現行のPCの1000倍くらいの能力を持っている。しかし、それを扱える人が、特権的な力を発揮できるのかというと、特にそうではない。大規模計算機がたいてい、私利私欲のためには使えないような制限があったり、使う人口が少ないから、可能性を試す機会が制限されていて、ろくなことに使えていないだけで、本当は夢のようなことができるという可能性があるともいえなくもない。

わからない。10年後の計算機でやれることもたかが知れているのか、すごいことができるようになっているのか。個人的な予感でいえば、今、まさに計算機でいろんなことが花開きそうな時期だと思う。10年後には、予測もつかないことが花開いているんじゃないかと思う。しかし、実際には大したことはやれていない現在の現実があり、未来は具体的にこうなるのですごくなるという具体性が、自分の中であるようであまりないのかもしれない。う~ん、ぐだ~ぐだ~。

あーだこーだ言ってるが、これは非常に重要なことだと思うのだ。10年後に可能性ある未来を享受していれば、次の未来への期待が高まり、さらなる進化を皆が望むだろう。しかし、あまり変わり映えのない世界であれば、進化に向かおうという雰囲気もなくなっているかもしれない。

これまでの10年に世界がとてつもない変化を遂げたことは確かだろう。しかし、この延長の進化を次の10年繰り返すなら、次の次の10年は停滞するかもしれない。逆に、この10年以内に、前の10年とは質的に異なる新しい現象が起きるなら、次の次の10年はまた予測外の新しい世界になるんじゃないだろうか。自分はきっとその新しい現象を求めているのだろうな。