2009年6月29日月曜日

ゆりかご

今日、本屋でふと、これまでの科学技術の発展についての本を見つけた。これまでの発展の歴史から、おのずとこれから先のことも浮かんでくるだろうから、こういうのを見るのは好きだ。見開きで代表的な科学史の表みたいなのがあって、見てみると、ないのだ、”脳”という単語が。半導体とか、生命とか、原子力だとか、そういのはあるが、脳はない。この本の著者の趣向とかでこういうのは変わってくるのだろうけど、恐らく、これが正当な、客観的な、社会の目なのだ。

そうか。これだけお金がかけられてきたけど、脳の成果って、大きな目で見るとないに等しいのだ。科学分野としての規模は結構大きい割りに、この現実(※見えないところで、一杯蓄積はしているよ!)。

まあ、寄与がほとんどないと言われたら悲しいが、これは、いろんなことを意味していて面白い。

まず、脳の分野は、社会でまだ活躍するほど、開拓されていなくて、もし社会にフィードバックされたら、想像を超えたものになるかもしれないのだ。なにしろ、まだ、ほぼ、誰もそのフィードバックを体験していないのだから。

もうひとつ、脳はお金をかけても、なかなか、役に立つことに結びつかない。例えば、半導体なら、何兆円かければ、1世代シュリンクできて、その恩恵で社会にこれだけ寄与するというのが、かなり明確に試算できる。少なくとも脳に比べれば。だったら、社会は自ずと、半導体に投資をするのは当たり前だ。遺伝子技術にしても、具体的な薬や、ips細胞だとかが役に立つというのは、かなりの人が理解でき、社会が、それに投資することを認めるだろう。

脳がいつになったらものになるのか、そんな日が来るのか、誰も断言はできない。でも、科学史の表を見ながら思ったのは、コモディティ化の恩恵というのは、脳科学をあらゆる方向から加速しているということ。

遺伝子技術は、脳というより、医学の目的で進化していて、民間にも浸透しつつあり、脳研究はその恩恵にあずかって、すさまじい速度で解明が進んでいる。

また、半導体技術の進展は、指数関数的に並列処理能力を上昇させていて、脳型のデバイスや、脳のシミュレーションの可能性を、とんでもない速度で広げている。

脳は学際的で、複合的な技術が必要な分野。そして、現在、社会は、さまざまな科学が、互いに交じり合って、互いの進展をさらに加速している。そのなかで、一番、恩恵を受けるのは、実は脳だ。そして、一番、恩恵を受ける甲斐があるというか、深い底を持っていて、その見返りも、多分、これまでのどの分野をも超えるものになるだろう。産業革命、情報革命につぐ、脳型革命と呼ばれるような日がくるだろう。こんな確信、いや妄想、いや希望を抱いて、本屋を後にした。


その後、お昼にふとweb記事をみると2600億くらい、国は科学にぶっこむらしい。なんか、100人くらい選別して、配分するらしい。そうそう、これくらい、やりゃいいんだ。もとを取れそうなところでいいからさ。あくまで、国が得をすることを、やればいいんだと思う。日本は幸い、平和的に、それをできるすごい位置にいるんだから、やってしまえばいいんだ。そして、その結果を理解できる賢い国民がいるんだから、絶対、文句は言われないと思うんだけど。


そして、家に帰って、テレビタックルを見た。脳死の立法で、議論がヒートアップして最後、とりまとめで、うまくかわそうとして、たけしが、チップが脳に入って、何が脳死になのかもわからないくなってきた世の中だから、国の漫画喫茶なんかやめて脳にチップ入れるような研究方面にお金をどんどん入れればいいのになっていうようなことを言って、ちょっと無理やりだなあ…って感じで終わってしまった。ちょっと、いいぞたけし、とも思ったけどw

象徴的だなあ。やっぱり、まだ、脳は、夢の話として語られるレベルなのだ。しかし、みながそれを語りたがるようなものでもあるのだ。日本の漫画にはいろんなSF見たいな、脳がからんだ話もあって、だから、やっぱり、そんな夢の将来を日本では、みんなで話せるんだとも思う。

こんな時代のこんな国のポテンシャルを国民の皆さん気づいています?

2009年6月20日土曜日

8ペタ来てます

すっかりFolding@homeのことを忘れていて、ひさしぶりにどうなっているかなとみると、8ペタまでいってました!すご~。

http://fah-web.stanford.edu/cgi-bin/main.py?qtype=osstats

昨年の秋ごろ、そんなにいってなかった気がするなあ。それから倍増してないか?よく覚えてないけど。
Nvidiaが4ペタの、PS3が2ペタの、ATIが1ペタ。すごい時代になったでしょ~。これがGPGPUなんだよね。あ、Cellはちょっと違うか。

このぶんだと、今年中に10ペタいくのは間違いなそう。さらに、来年になると、Larrabeeたんが参入してくるはず。

それにしても、ここに出てくる数字っていろんな要素を持っていて、それぞれのプラットフォームの状況が透けて見えるようで面白いな。

それにしても、Folding@homeの計算て、いつになったら終わるの?

2009年6月17日水曜日

1956年の神経回路網の計算?

IBMに関するある記述を発見。

On a historical note, in 1956, a team of IBM researchers simulated 512 neurons (N. Rochester, J. H. Holland, L. H. Haibt, and W. L. Duda, Tests on a Cell Assembly Theory of the Action of the Brain Using a Large Digital Computer, IRE Transaction of Information Theory, IT-2, pp. 80-93, September 1956.).

1956年にそんなことやってたのか。っていっても、どんなことか詳細はわからないが。でも、このころにすでにこの発想があったというのが、すげー。Hodgkin、 Huxleyから数年しか経ってないけど、どんなモデルでやったんだろう。

TraubがIBM所属なんてのも、これなら納得。IBMは昔からこういうことを目指していて、それは今も続いている。IBMは特別なんだな。

国、金、科学

あんまり個人的には気にしてないけど、日本は科学者とか技術者が冷遇されいるって言うのはよく聞く話。

大学の先生とか見ると、それほどいい待遇とは言いがたいなと実際に思う。

なんかぶつぶつ文句言ったってしょうがないし、そうなる現実があるのは原因があるわけだからなあ、とは思うけど、客観的に考えて、

「なんで、現代では社会経済の根底に科学技術が関わることが誰がどう見たって明白なのに、自らの首を絞めるようなことをするんだろう?」

とは、素直に思う。なんで?別に研究やっている人の自己満足とか夢だとかどうでもよくて、技術が上がれば、それで商売ができて、生活は豊かになって、得をするのは国、国民なのに、なんでそこにお金をかけないんだろう。科学技術で、これまで散々儲けて、おいしい思いをしてきて、総じて賢い人間が多くいる国のはずなのに、なんで?

科学者以上に頭が良くて、科学者を利用できる人が、うまくやっているから?そういえば、逆に、思いっきり科学に金を馬鹿みたいにかけまくる国ってみたことないな。科学が絶対なら、そこまで極端な国があっていいよな。ようするに、国の繁栄=科学の繁栄ってのは、絶対じゃないってことだな。

2009年6月16日火曜日

1996年の神経細胞の並列計算

たまたま、Traubの1996年のNatureの論文を読んだ。
普通、神経細胞のモデルの話でNatureはなかなかない。やっぱTraubは偉い。

数十個のニューロンからなるネットワークモデルの話。方法にIBMのSP1とSP2という並列計算機を使ったと書いてある。このころから、並列計算機でやってたのか。

で も、SP1とSP2って知らないな~と、ネットで探してみたところ、なかなか詳しいスペックとかでてこない。ようやくでてきた資料によると、どうやら1 ノードで125~250MFLOPSくらいらしい。13年まえだから、そんなもんだろうか。今のGPU1チップと比べれば、4000倍以上の性能差。

4000倍も遅けりゃ、数十個の神経細胞のネットワークでも並列計算したくなるか。さすがTraub。っていうか、Traubって所属IBMなのか。 かっこいい…。もともとIBMは脳の研究とかに近いってことか。だからBlue Brainとかやっちゃうんだな。

は!IBMだったら、脳科学者をやとってくれるかな?でも下克上が大変そう。