2009年1月9日金曜日

闇から光へ

先日、たまたま、てんかんの症例や治療についてのセミナーがあった。
てんかんは、自分とは直接関係する研究ではないが、脳研究に携わると話を聞く機会が結構ある。

病気というのは、正常に機能すべき部分が、うまく働かないために起きるから、そもそもどのようにして働いているかわからない対象(脳とか遺伝子)を研究をする人にとっては、その情報を得ることは対象の機能の解明する助けとして非常に重要である。

そういうわけで、てんかんのお話に対して、脳の研究する人は非常に関心を持つもので、実際、セミナーは大盛況であった。

興味や関心を持つといっても、症例を聞くとなかなかつらい気持ちになる。てんかんの患者さんは本当に大変である。いきなり意識を失うような場合、命にかかわるような事故にあう危険もある。

てんかんには、実に様々な症例がある。というのも、脳というのは、感情、想起、学習、感覚、意識など、本当にいろいろな情報処理をつかさどっているため、いろいろな機能と関連したてんかんが起きるのだ。たとえば、笑いながらてんかんになるとか、物を食べるとてんかんになるということがあるらしい。

てんかんというのは、おおざっぱにいえば、神経細胞が共同して発火しすぎる現象だ。脳は莫大な数の神経細胞で並列処理を行うので、そういう危険はもともと起きやすいのだと思う。ちょっと違うかもしれないが、たとえば惑星が集まりすぎて、つぶれてブラックホールになるとか、並列計算機で一つのノードにデータ転送が集中して、その処理が律速するとか、ネットのブログが炎上するとか、並列な現象があるところで起きる危機的な現象と似ている。

ここまで進化してきた脳が、こういう危機を克服できず、患者数も世界で膨大にいるらしい。逆にこれだけ進化したから、こういう問題は起きてきたともいえるが。このように脳は並列処理をするが故に、難題を抱え続けているといえるだろう。同じ問題は、これからのマルチコアのコア増加においても発生するのだろうと思う。まず、コア間のバスの転送速度が速くなる限界というのにぶち当たっていくというのがあるだろうが、それをなんかしらの手段で克服すると、次には動的にトラフィックが一か所に集中したとき、クライシスが起きるということが問題になり始めるんじゃないだろうかと思う。そういうことは、もちろん、もうインターネットの世界では普通にアクセス集中という形で起きているし、現時点でも下手なコードを書くとマルチコアプロセッサでは効率低下が起きる。GPUでは、その実体験を自分もしたんだけどね。

こうして考えていくと、やっぱり、並列計算では、個々のプロセッサの処理能力というのはそこそこでいいのだと思う。問題は、いかに結合を作り、データ転送をするかなのだと思う。または、ネットワークでうまく働くような、プロセッサの質的変化を考えるべきなのかもしれない。神経細胞はそうだし。

ということで、本日の主張:

プロセッサ業界よ、脳研究者を雇用するのだ!!!

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