2009年12月25日金曜日

最後まで煮え切らない

機動旅団八福神の新刊でてるなと思ったら最終巻でした。

戦争の部分はなんかすっと終わっちゃって肩透かしで、最終巻のメインは"その後"。

なんか煮え切らないなかでの詩的でリアルな描写がよいのがこの漫画のいいところだ。最後の展開はまたなんとも煮え切らない。でも、最終巻通してのメッセージはなんか肩透かしを食ったような感を受けたなあ。自分の理解というか感覚がなんか追いついていけてないところがある気もするけど。

煮え切らないということは、漫画として落ちとかカタルシスに至りにくいわけで、それは劇的ではない現実世界に近い。だから、勧善懲悪とは程遠くて、誰が正解でもない、人生いろいろな感じになって、ゆるいといえばゆるくなる。そしてこの漫画はそういう感じで終わった。

そういう感じは、下手すぎる語り手でよくあることだが、この漫画は作者があえてそうやって話を展開させているようで、そこから描いていこう、見出していこうとしているから新鮮で面白かった。

そういうのって、いかにも悩める若者にありがちな空気感というか、シュールだけどロックみたいな感じで、実際のはなしも青春ロボットものだから、こてこてといえばこてこてかな。

それにしてもこの漫画で一番言いたかったことは、名取のことなんだろうか、半井のことだったのだろうか。突出していたのは名取の存在だ。あの自分の変な価値観のなかで完成されていく感じは、唯一無二で、違和感というか、はっきりいって気持ち悪い。半井は対極にいて、透明で空っぽのような人格で、屁理屈くさい名取に反抗していくような存在。この2人の対比がメインのテーマなんだろうけど、まあやっぱり、名取が強烈な引き立て役で、半井が答えなのかな。答えになっていないところがこの漫画かな。

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