2009年11月15日日曜日

次世代スパコンの事実上の凍結

今、スパコン業界はどこにってもこの話で持ち切り。

「次世代スパコンの事実上の凍結」

どうも、ネットの様子を見ていると、6、7割以上(?)は、"なんてバカなことを…"という意見で、残りは"まあ妥当じゃないか"という感じ。思ったより凍結は支持されてない印象。おお、やはり日本の国民の知能は低くなかった。よかった。まだ救いだ。この仕分けがマスコミに取り上げられて、問題化すれば、たぶん翻ることもあるんじゃないかという気もしなくもない。むずかしいかな?

このプロジェクトは、確かに、そりゃもろ手を挙げて最高っていうだけじゃなくて、いろいろ問題をかかえてはいたけど(NEC脱退とか)、それでも、仕分けるようなもんじゃないのは確かだ。

このまま何十年やってもできる見込みが立たないっていうもんじゃなくて、もうさ来年には出来上がるという代物で、設計図もできているし、基礎の部分、建物も完成して、ご本尊のCPUも試作はできてて、これから物をいれてくという状況。っていうか、来年度にできなかったら、逆に意味がなくなるので、そのスケジュールを達成しようと必死にやっているとこ。さぼってお茶飲んでいる余裕がある人なんかいないだろうな。

それに、スパコン上で走るアプリはいっぱい計画されていて、やる意味がわからない胡散臭いものなんかでは全然なく、科学技術の発展のために、 ナノテクノロジー、気象、宇宙、タンパク質、生物、脳、その他たくさんの最先端の専門家が結集して、最先端のスパコンを使い倒して、成果をだそうとしている、科学技術の発展に非常に重要なプロジェクトだ。

費用対効果なんて、それこそ計り知れない。

新しいタンパク質の構造があきらかになって、薬ができて、それが日本人の生命に役に立ったら、それはどれだけ得することになるわけ?それで特許とって世界で売ったらいくら儲かるわけ?

地震のメカニズムの理解に役立って、被害を回避に役立ったら、いくら儲かるわけ?台風の予測もそう。

温室効果の予測が立って、被害の予測とか、回避する方策を立てるのにつかえたら、地球全体で一体いくら儲かるわけ?もし、何万人って人が災害で死ぬかもしれないのを回避することにつながるとしたら、それは一体いくら儲かるわけ?もう値段なんか付けらんない。

遺伝子の解析結果が、病気の治療につながっていったらいくら儲かるわけ?これはごっついと思うよ。

今半導体につかっているシリコンは、ムーアの法則で限界きそうだとかいってて、新しい材料を探し始めているけど、それをスパコンでシミュレーションする方法もあって、実際の物で試すだけよりコスト削減になるみたいで、見つかれば、半端なく儲かるけどいいの?MRAMなんかの次世代の不揮発性のメモリの素材開発だって、シミュレーションで探しているぞ?

宇宙とかのことがわかっても、利益にならんというかもしれんが、それはさ、みんなが生きている世界が、そういうところなのかってわかることっては、人生にすごい意味あるよ。お金ではかれなくても、みんなが面白いとか、へえ~って納得できて、そういうことって、個人個人の人生の行く末に、実はすごく効いてくることだと思う。

脳だってそうで、自分はどういう風にして考えているのか、自分はなんなのかって知ることは、人類の悲願だ。それにつながるなら、もう儲かるとか超越しているでしょ?でも、脳は儲からないわけじゃなくて、それこそ脳の治療や、脳型の情報処理システムにつながっていくので、儲からないわけがない。ロボットに脳が必要だろうってのは、誰だってなんとなくわかるはず。これからロボット産業が発展していくんだから、その脳は当然必要になってきて、大きな市場につながっていく。

こういう儲かるのを全部足してったらさ、たぶん1000億の投資なんて屁みたいなもんだ。しかも、もう半分予算使って、もうすぐ完成って時に止めるなんて…。

このプロジェクトは、どっかのダムみたいに、いつまでにこの予算でできるっていうのを思いっきり裏切って、目途がまだたってないわけじゃなくて、ほぼ予定通りできてて、やること自体は意味がすごくあるのは誰でもわからないわけがないというやつだ。NECの離脱があったとはいえ、それも何とか乗り越え、まじめに約束を守ってやってきて、しかもその成果は国のために非常に重要なのに、それを突然なんだかやめろというのは、誰も得しない状況。

しかもこの決定は、せっかく自分のところのお金を持ち込んで頑張っている富士通との約束を反故にするという、わけがわからない状況を生むのも問題だ。NECの場合とは逆に、国が訴えられても文句言えないんじゃないか?

半導体の問題よりも、さらに深刻なのはそれを使って科学技術を推進する人たち、人的資産をぶち壊すことだ。はっきりいって、半導体は、時間が過ぎればどんどん新しいのがでてくるから、まだ替えはきく。でも、人間はそうはいかない。こんなことをしたら、みんなプロジェクトからでていってしまう。半導体と違って人間を製造することはできない。プロジェクトで集まっている人は決して烏合の衆なんかではなく、各分野のプロフェッショナルだ。そういう人たちを失ったり、そういう人達の信頼を損なうのは、とんでもない損失だろう。これからどれだけ稼ぎだすかわからない、金の卵たちかもしれないのに、ものをぶっ壊すのといっしょに、人まですりつぶすなんて、一体何の得があるのだろう。

ちょっと、熱くなって長文になってしまったが、本当に意味がわからない決定だというのが、自分の意見。

まあ、たぶん、勘だけど、この凍結の決定はそうすんなりはいかないんじゃないかと思う。短時間で、よくわからない人たちだけで決めていいようなことじゃないし、きっと多くの一般国民もおかしいと思うだろう。

何週間かかけて、プロジェクトのヘッドも入れて、議論すればいいのに。なんでこんなことすんだろう。

スパコンについて特に書いたけど、スパコンだけじゃなくて、Spring8とか若手の科研費とかその他の事業だとかひどい状況だ。 科学技術立国とかいっておいて、若手の育成のお金を切るとか、誰が見たっておかしいでしょ?繰り返すけど、人的資産の損失は将来に深刻な影響を与える。人に投資するんじゃなかったの?温室効果ガスの削減25%は科学技術でやるんじゃないの?

なんかここまでおかしいと、なんかの謀略か外圧とか勘繰りたくなるが一体なんなんでしょう?まず、科学事業に関して、事業仕分けを画策した人は一体誰なんだ?どういう基準で、事業を選んだの?仕分け人の人選もそう。その過程の情報を開示するのが筋だ。どうせ公開討論とかやるなら、そこからやるべきだ。

ふー、熱くなったぜ。我がブログ史上、最長なんじゃないか?まあ、文句ばっかいっててもどうしようもないときってのもある。国ばっかあてにしててもしょうがないからな。自分でできることをやっていくのみ。

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